こんにちは。
今回から、認知の歪みとその直し方についてお話しします。
今回も超絶わかりやすいお話になっています。あなたの思考のヒントになること間違いなしです。この記事を参考に、苦悩脱出表を作って持ち歩いたり、何度もこのページに来て、正しい思考のコツを身につけてくださいね!
認知の歪み・認知行動療法とは
認知の歪みとは、非合理的な思考を言います。
第一回でお話しした通り、自動思考とは、出来事に対して、意識することなく頭に勝手に浮かんでくる一方的な思考と、その思考を正当化しようとすることを言います。(そこでは、勉強中に「基本的事項についての知識を忘れていた」例を用いて説明しましたね。)
そして、自動思考のうち、特に非合理的な思考を認知の歪みと呼びます。
認知の歪みという言葉は、種々の精神疾患を患う人に対して行われる治療方法の一つである、認知行動療法の中で用いられるものです。ですが、精神疾患のない人でも、苦悩から脱するために非常に有用な考え方です。認知の歪みとその解消法は、医学、心理学に対する専門的な知識がなくても理解できます。ここで、エッセンスを学んでみましょう!
認知の歪みは、学説によっては10つ以上に分けられます。ですが、ここでは独自の基準に従い、以下の6つに分類します。
①過大視
②失敗の思い出し
③全か無か思考
④先読みの誤り
⑤相手の心の読みすぎ
⑥相手の行動の自分への関連付け
①〜③は、見方決定をする過程で生じる自動思考を言います。
④は、思考を踏まずに、即座に見方決定に飛びつく認知の歪みを言います。
⑤、⑥は主として対人関係の認知の歪みを指します。これも思考を踏まずに、即座に見方決定に飛びつくタイプの認知の歪みです。
まずは、①〜③の3つと、その他3つ、という形で記憶しておくと覚えやすいです。
本記事では、①過大視について、具体例とともに解説しますね!
過大視とは
過大視とは、ある出来事の持つ意味のうち、一面のみを強調して考えることを言います。
例えば、勉強中に、「基本的知識を忘れていた」という出来事があったとします。
「基本的知識を忘れていた」ことは、見方次第では気分が下がる、辛い出来事です。覚えたはずの知識が、定着していないことは、自分の努力が十分に報われていないのですから。
そして、この出来事の一面である、辛い出来事という点を強調することが、認知の歪みの一つ、過大視です。ここでは、出来事のネガティブな面を強調しているので、ネガティブの過大視と呼ばれます。
上の図は、ネガティブの過大視をした思考フローです。
なぜ認知の歪みを直すべきか
ネガティブの過大視をすることの、何が悪いことなのでしょうか?
ネガティブの過大視をすること自体は、必ずしも悪いことではありません。問題は、ネガティブの過大視をした結果、不適切な見方決定をしていたずらに気分を下げてしまうことです。また、不適切な見方決定に基づき、不適切な行動選択をし、自分の理想の活動ができなくなってしまうことです。(前提として、自分の理想の活動を自覚している必要があります。理想を自覚する方法は、「目的発見の参考書」にて、理想の活動計画を立てる方法は、「目標達成の参考書」にて詳述します。)
そのため、認知の歪みをする習慣があったとしても、それによって生活上支障が出ていなければ、認知の歪みを直す必要は必ずしもないでしょう。
一方で、認知の歪みをして、気分を下げたり、自分の行動をコントロールできず、苦しんでいる人。そして、苦しむ中で、何としてでもこの苦悩から脱したいと願う人。そういった人は、認知の歪みを直すことが望ましいです。
では、過大視の直し方を説明しますね。
過大視の直し方
1. 思考停止をする
あなたは、すでに、過大視という自動思考を、書き出すなり、愚痴るなりして、出し切っています。その後に、何度も考え尽くして、出し切った自動思考を、再び頭の中で繰り返す。これは、自分の理想の活動との関係では、時間と労力の無駄ですよね。
過大視をする思考習慣が身についてしまっている人は、過大視を頭の中で繰り返す傾向が強いです。繰り返しをしてはいけません。「(考えるのを)やめろ!」と自分に言い聞かせましょう。そのようにして、まずは思考停止状態を作りましょう。
上の表では、「辛いことだなんて考えるのをやめなさい!」と、自分に言い聞かせることになります。
2.ポジティブな側面に目を向け、「良いことだ!」と言ってみる
出来事には二面性があります。そして、日常で出くわす多くの出来事は、見方次第で気分が落ち込んだり、一方で前向きになることができる出来事です。
出来事のポジティブな面を、理性的に考えて、見つけましょう。そして、ポジティブな面を見つけたら、「この出来事は、〜というポジティブな面がある。良いことだ!」と言ってみましょう。脳内でも構いませんが、書き出したり、口に出すのが望ましいです。
「良いことだ!」と言ってみることで、脳は本当に「良いことだ!」という見方決定をしてくれます。それだけで、気分が持ち直すことも少なくありません。
上記の具体例に即して、1思考停止、2「良いことだ!」という正しい思考をした場合が、上の表になります。
基本的知識を忘れていても、試験本番でなければ大きな問題はありません。むしろ、忘れていたことに気づいた今、しっかり覚えれば、試験本番に忘れることがなくなります。これは、「今、基本的知識を忘れていたことに気づいた」出来事の持つ、ポジティブな側面です。
厳密に見て、ネガティブ何%、ポジティブ何%と考えることで気分が落ち着く人は、それでも良いでしょう。一方で、大抵の出来事は、「良いことだ!」と、明るく捉えることで気分が落ち着く人も多くいます。自分がどちらの人間なのかを確認する意味でも、ぜひ試してみてください。
繰り返しになりますが、大事なことは、自分の理想の活動ができるか否かです。見方にこだわって、自分の理想の人生が歩めないのでは、本末転倒です。再び過大視が頭に浮かんできた場合には、何度もこのフローを履践してください。
2’. 苦悩の大きさに照らし、適切に苦しむ
そうは言っても、簡単に「良いこと」と明るく捉えられない出来事というのが、この世には存在します。
基本的知識が抜けていた出来事は、見方次第で気分が下がる出来事と言えます。一方で、客観的に見て気分が下がる出来事というのがあります。
例えば、努力が報われなかったことです。対人関係では、理不尽に怒られたり、ひどい扱いを受けたこと。もっと重い例をあげれば、病に罹り、自由に活動できないこと。親しい人との死別。
こういった出来事に対しては、苦悩の大きさに照らし、適切に苦しむことが必要です。
余裕ができましたら、何が辛いのかを、書き出したり、口に出して、吐き出し切ってください。
そして、「辛いのは、仕方のないことだ。」と言い聞かせてください。
もっとも、仕方のないこと、と一生辛い状態でいるわけにはいきません。
そこで、「辛いのは、適切に苦しむことで、時と慣れで徐々に消えていく。」と言い聞かせてください。
そして、さらに余裕が生まれれば、「悲しみ、辛さを引きずり続ける選択は、自分はしないぞ。」と考えましょう。
具体例としては、前回もお話ししましたが、自分が司法試験に落ちた話が挙げられます。司法試験の不合格という出来事には、努力が報われなかった、という側面があります。
次の受験に向けた生活が自分にとって「良いこと」であるとわかっていても、やはり今までの努力が報われなかった事実を、明るく捉えることは難しいです。
そこで、「努力が報われず、合格できず、当初抱いていた将来のビジョン通りの人生が歩めなくなってしまった。これが辛いのは、仕方のないことだ。」と書き出しました。
さらに、「この辛さは、時と慣れで徐々に消えていく。」「辛さを引きずり続けて、理想の人生に向けた活動を停止するという選択は、自分はしないぞ。」と言い聞かせています。
次回予告 失敗の思い出しについて
今回はここまで。本当は認知の歪みを3つ紹介したかったのですが、想定より字数が大幅に増えてしまいました・・・笑
次回は失敗の思い出しについて。新しく、自分の過去の失敗を赤裸々に語ることになります。お恥ずかしいですが、ためになり、実践できる内容になること間違いなしです。お楽しみに!