司法修習中、僕は2020年1月6日から3月1日まで、民事裁判修習をしていました。
どんな内容かを簡単に話しますと、
東京地方裁判所の民事部にお邪魔し、
↓
裁判(弁論、弁論準備、和解、証人尋問)を傍聴する
↓
裁判を振り返って裁判官から指導を受ける
これを繰り返す、といった内容でした。
その中で、「やって良かったこと」「後悔したこと」を、守秘義務に反しない程度に端的に備忘録として書きました。
これから民事裁判修習をされる方や、来年以降司法修習をされる方のお役に立てば幸いです。
やって良かったこと
3位:事件記録はすべて時系列表と関係図を描いて整理した
民事裁判修習は、基本的に指導担当官が持っている事件記録を読むところから始まります。
事件記録は、訴え提起から間もなく主張と証拠が少ない事件から、数年係属し続けており準備書面が沢山出ている事件まで様々なものがあります。
また、事件内容も定型的な事件から、複数の争点や法的問題を抱えたものまで様々です。
さらに、事件の背景事情も、私人間の分かりやすい事件から、企業間の専門的な知見を要する、複雑なものまで多種多様。
そんな大小さまざまな事件があります。
ここで、記録が分厚く、問題が多く、背景事情も難しい事件記録は、サーっと一読しても状況の理解が難しいです。
そこで、僕は記録内容の把握だけは裁判官に引けを取らないようにしようと、事件記録はすべて時系列表と関係図を描いて整理していました。
「担当事件の記録内容の把握、記録の検討、調査の深さではボスに絶対負けてはならない。」
この投稿を昔読んで、この言葉が脳裏に焼き付いていました。
なので、修習で事件記録読む時に、指導担当の方に「記録内容の把握」では絶対に引けを取らないよう意識してます。
「調査の深さ」も、頑張ろ。 https://t.co/4r1yfSN6qM
— ダイキ@73期司法修習生(東京修習)、司法試験・予備試験勉強方法・継続方法ブロガー (@daisabaku73) February 18, 2020
そのおかげで、社会的事情について知見が深まり、良い学びができた気がしています(実務家の先輩たちに比べてまだまだですが…)。
2位:裁判官のリーガルリサーチ術を聞いた
裁判官の方はリーガルリサーチをどのようにしているか、気になりませんか?
裁判官のリーガルリサーチ術を模倣できれば、裁判官の見通しを共有することができ、訴訟を円滑に進めることができるでしょう。
そこで、指導担当官の方々のリーガルリサーチ術を、使用しているデータベース、よく用いる参考図書、参考資料の集め方等々可能な限り拝聴しました。
裁判官ごとに異なるとは思いますし、守秘義務が気になるのでここでは具体的内容は割愛します。とても参考になりましたので、よろしければお試しください。
1位:裁判官と沢山議論した
民事裁判修習で一番充実したことは、指導担当官と沢山議論したことです。
事件記録を読んだり、期日が終わった後、指導担当官の方に
争点
争点についての見通し
についての私見を伝えました。
そして、自分の整理に不正確・不合理な点があると、指導担当官の方からソクラテスメソッド(対話式)で考えを問われました。
この質問に回答したり、質問を前提にリサーチをすることで、事件を検討する裁判官の方々の物の見方、考え方に多く触れる機会がありました。
僕を指導してくださった方々は、時間を沢山割いてくださり、とても親身に指導してくださりました。大変貴重な機会をいただき、本当に感謝しています。
後悔したこと
3位:体調管理が足りなかった
毎日万全な体調で収集に望めれば理想ですが、心身の不調が時々発生してしまいました。
次の修習では、早寝早起き、健康な食事、適度な運動等、健康維持のための努力をして、より充実した学習をしたいです。
2位:訴訟手続の学習が足りなかった
修習では、実体法の理解に重きを置いた一方、訴訟手続の理解を十分に深められなかったと感じています。
訴訟手続に触れたら、その都度関連条文やその周辺の条文、コンメンタール等を読み込む習慣をつけるとよかったと思っています。
1位:要件事実の自習が足りなかった
修習中の起案で、要件事実の理解に難があると感じる一方、要件事実の自習ができませんでした。
自習で基礎を固め、事件記録を利用して、要件事実の学習をより徹底出来たらよかったと後悔しています。
次は弁護修習
僕は街弁志望ということもあり、明日からの弁護修習はとても大切な時期と考えています。
一方で、民事裁判修習とは環境も学習内容も変わるため、正直な話、体調管理や人間関係等、不安が沢山あります。
無理せず、自分なりに頑張って、充実した修習を送れたらと思います!
なお、弁護修習で身に着けたいスキルBEST3は…
2位:事実・証拠収集をするスキル
1位:法律相談で必要な情報(有利不利問わず)を聞き出しつつ、信頼関係を築くスキル
です。
最後までお読みいただきありがとうございました。