司法試験の短答に落ちた自分は、なぜ1日で立ち直れたのか【苦悩脱出③】

こんにちは。今回は「苦悩脱出の参考書」第3回になります。
僕が「司法試験に落ちた時の苦悩」と、そこから「脱出した流れ」を、超具体的かつ赤裸々にお話ししますね〜!
生々しい内容ですが、だからこそ、多くの司法試験受験生の方々の参考になると確信しています。ご期待ください〜!

僕はこうして司法試験の短答に不合格であることを知った

遡ること2018年5月20日。
僕は4日間にも及ぶ司法試験を受け切ってきました。
試験終了後は周りに笑顔がこぼれ、僕も例外なく、帰り道に達成感と疲労感の合間った、受験終了者にしかわからないであろう心地よさを感じ、帰路につきました。

その後、実家に集まっていた親戚一同に暖かく迎え入れられました。(お祭りのある日曜日であったため、親戚が集まっていました。)
そして、地元のお祭りに参加してお神輿を担ぎ(肩の腫れは1週間以上残りました。笑)、ビールと夕食をとって、夜を迎えました。

そんな楽しい試験後の雰囲気だったのですが、
しかし、僕の胸の中には一抹の不安がありました。

「短答の手応えがよくなかったな・・・」

テストを解き終えた直後に、「合格ラインに手が届いていない」と直感的に思いました。これは、長年の受験生活で初めてのことでした。
短答の手応えに対する不安は、ずっと心に引っかかっていました。
僕は、短答の自己採点は試験の翌日にしようと思っていました。
ですが、不安に駆られ、試験終了当日の夜23時過ぎに、某インターネット掲示板を開き、そこに挙げられていた解答速報を使って、自己採点をしたのです。
すると、

「昨年の合格者最低点に届いていない・・・!」

非情な現実に向き合ってしまいました。
深夜の薄明かりの中、何度も自己採点をしましたが、結果は変わりません。

心臓は高鳴り、絶望が体を侵します。焦りで思考が全くまとまりません。
「やばい、やばい、やばい・・・」と、混乱で頭が冴え、深夜1時を超えても全く眠れない。試験疲れで心身は悲鳴を上げているのに。

解放感のない試験翌日

何時に寝たのかわかりませんが、気付いたら朝でした。

家で、母と話しました。母は、大変な試験を受け切った僕を誇らしく思っていたようです。また、結果にも信頼を寄せてくれていました。
労いの気持ちで暖かく接してきた母に対し、
僕は「どうやら落ちたみたい・・・」と、声を振り絞り伝えなければなりませんでした。

「Dがそう言うんだから、そうなんだろうね。」と、現実を受け止めてくれた母。気を遣って、あえて普段通りの態度で接してくれました。

しかし、僕は溢れてくる悲しみと、母に対する申し訳なさ、惨めさから、まともに顔を見て接することはできませんでした。自分が情けなさすぎて、涙が出そうでした。

その後、僕はなんとか当日夜のアルバイトに行ける状態を作ろうと、趣味のサウナに行きました。
しかし、どうしても気持ちが上向きません。

そこで、僕は受験勉強時代に生み出し、かつ心を整える方法論として絶大な信頼を寄せていた
「苦悩脱出表」(前記事、前々記事参照)
の作成に取り掛かりました。

苦悩脱出の道① 自動思考を書き起こし切る

まず、①頭に浮かんでくる自動思考を書き出しました。
歴代でも一番の量の自動思考でしたね。当たり前ですが・・・

その内容が上の画像です。

これを読み返すたび、自分が当時どれだけ苦しんでいたのかを、心身で思いだします。当時は気持ちは落ち込み切り、とにかく胃が痛い状態でした。まさに満身創痍。

苦悩脱出の道② 弱音を吐く

これを書き出したからと言って、直ちに心は晴れません。しかし、客観的に今の自分の思考を見つけるきっかけになりました。おかげで、なんとかバイトに行くことができました。

そして、受験結果について話すつもりはなかったのですが、会話の流れでどうしても受験結果に話がいきます。そこで、バイト先の先輩に、自分の現状を話しました。口から出てくるのは後悔や今の苦しみについてでした。聞かされた側はたまったもんじゃありませんが・・・笑

ですが、おかげで、より自動思考と距離を置くことができました。

苦悩脱出の道③ 自動思考を整理する

書き出しと弱音とで、自動思考をあらかた出し切った僕は、正しい思考をする準備ができました。

ですが、今回は、司法試験不合格という、あまりにも衝撃的な出来事であったため、歴代最多の自動思考の量でした。

このままでは向き合い難いため、自動思考を大きく3種類に分けてみました。それは

①過去の後悔

②現在の苦悩

③将来の絶望感

です。

これに沿って、上記の自動思考を元に、整理してみたのが下の図です。

苦悩脱出の道④ 正しい思考をする

自動思考を整理し終えると、初めて正しい思考をすることができます。

僕は、上の図の一つ一つの自動思考に対し、正しい思考を考え抜きました。正しい思考は、自分にとって説得的な、自動思考と反対の結論と、その理由を言います。正しい思考を生み出す方法については、後日に詳述します。

それをまとめたのが下の表です。

苦悩脱出の道⑤ 適切な見方決定・行動選択をする

正しい思考を経て、司法試験不合格という出来事の見方が変わりました。
司法試験に落ちたことで、

より正しい勉強方法を学ぶことができる。それを他人にアドバイスすることができるようになる

同じように、人生で苦しむ多くの人に共感することができるようになる

次の一年の受験時代で、自分の人生をより豊かなものにする機会を得られる

ことがわかりました。
司法試験の不合格」は、自分の人生にとっては「良いこと」である、と見ることができるようになったのです。

試験の翌日夜に、司法試験不合格が良いことであると認識して初めて、心身の苦しみが大きく和らぎました。

そして、翌日からは再現答案(試験会場で解いた問題の、自分の解答を再度書くこと。様々な点で効率的な勉強となる)の作成に取り掛かりました。また、短答合格をした友人や、浪人体験をした弁護士の先輩方からお話を伺い、来年に向けた勉強計画を立て始めることができました。

苦悩を適切に苦しむ・その後

以上の通り、僕は司法試験の不合格から1日で立ち直ることに成功しました。
ですが、それ以降一切の苦しみから解放されたかというと、そうではありません。

短答の勉強をするたびに、過去の勉強方法に対する後悔が頭をよぎります。

他人と会う時に、自分は「司法試験に落ちたフリーターだ」と自覚して、自信を失うこともあります。

短答合格発表日が近づいた3日前頃から、「もしかしたら合格点が下がり、合格しているのではないか」と淡い期待が生まれ、そんな情けない期待をしている自分に落ち込みました。(後注記:合格点の発表は6/7 16時、合否の手紙到着は6/17頃でした。)

ですが、このように自動思考が頭に浮かび、気分が下がるたびに、2つのことをします。

一つは、上の表を見返すことです。そうすることで、正しい思考を思い出します。そして、「司法試験不合格は自分にとって良いことだ」という見方決定を強固なものとしています。

二つ目は、「苦悩は適切に苦しまなければならない」ということについて、考えています。どういうことかと言いますと、

辛さは、適切に苦しまなければいけません。
辛い時には、「辛いのは仕方ない」と考えます。辛い気持ちに蓋をして、自分の気持ちに向き合わなければ、将来の長きにわたって歪んだトラウマを抱えて生きることになってしまいかねません。
もっとも、辛いのは、ある程度苦しんだら、時と慣れによって消えていく」と考えます。「苦しみがいつまでもなくならないのは、理不尽である」と考えます。
そして、「悲しみを引きずり続ける選択は、決してしない」と誓います。苦悩の中にずっと居続けることは可能です。時には苦悩から立ち上がらないことの方が楽な場合もあります。ですが、自分の人生の目的との関係では、苦悩から脱出することが不可欠なのです。

僕はこのように考えて、今も時々訪れる苦悩を乗り越えています。

次回予告

今回はここまで。司法試験不合格を乗り越える話を使いながら、「苦悩脱出表」の流れについて再確認できる内容となりました。苦しい時には、ぜひ①自動思考の吐き出し②正しい思考③適切な見方決定④適切な行動選択のワークをしてくださいね!

次回は、自動思考に対する正しい思考について、丁寧にお話しします。自動思考に対する正しい思考をできるようになれば、どんな苦しみが襲ってきても、絶対に大丈夫です。お楽しみに!