「苦悩脱出表」のすべてがわかる!【苦悩脱出②】

みなさんこんにちは。
今回は「苦悩脱出の参考書」第2回になります。「苦悩脱出表」の詳しい説明、メリット、そして作り方を解説していきますね。

そうそう、前回の記事で用いられた「苦悩脱出表」を、実際に使ってみましたか?あなたの悩みを解決する良い効果があったことでしょう〜!
まだ試していない方、今回の記事を読んだら、今後、悩みの整理に使わずにはいられなくなります。笑
ご期待ください〜。

認知行動療法と自己啓発書から生まれた「苦悩脱出表」

「苦悩脱出表」とは、歪んだ見方決定や、不適切な行動選択をすることで苦しむことのないように、正しい思考をするのに役立つ画期的な表です。

表の上部には、

①出来事
②思考
③見方決定
④行動選択

というフローがあります。これは、人の頭の中のフロー(流れ)を定式化し、図式化し、さらに簡略化したものになります。
作成にあたっては、認知行動療法や各種自己啓発の理論を参考にしています。(もっとも、完全なオリジナルになります。)

頭の中のフローを詳細に見ていくと、人は

①出来事に対して、
②思考(「この出来事から、私は〜と思う。なぜなら、〜だからだ。」)をします。そして、
③思考を経て見方決定(「この出来事はこういう意味だ。」「この出来事から〇〇は〜とわかる。」)をします。
④その後、多くの場合、見方決定に基づき、行為選択(「〜をすべきだ。」「〜をしたい。」「〜をしよう。」)をすることがわかります。

前回の具体例を思い出してください。

この表を上の説明に合わせて説明しますね。

①「基本的知識を忘れていた」という出来事に対して、
②「こんな基本的なことを忘れるなんて、ダメな人間と思う。」「以前も答練の結果が良くなかったぞ」という思考をしています。そして、
③思考を経て「この出来事や過去の出来事から、自分はダメな人間だとわかる。」といった見方決定をしています。その後、
④ダメな人間である自分から目をそらしたいという思いで、漫画を読み耽るという現実逃避の行動選択をしてしまいます。

次に、前回の具体例の2番目、正しい思考をした場面の表も説明します。(前回よりも一部加筆しています。)

この表の読み方は、

①「基本的知識を忘れていた」という出来事に対し、
②上記の自動思考を吐き出したあとで、冷静に「基本的知識を今覚えることができる。良いことだ!」という思考をしています。また、「以前、大学も、大学院も卒業できた。大学院の成績も悪くなかった。」という思考もしています。さらに、「自分は逃げずに5年も法律の勉強をしているんだ。」という思考もしています。
③正しい思考を経て、「この出来事や、過去の出来事から、自分は適切に頑張っていることがわかる。また、自分は司法試験に受かる可能性は十分にあるぞ。」という、適切な見方決定をしています。
④適切な見方決定を踏まえて、目標に向けて適切な行動選択をしています。

・・・と、こういう表です。

「苦悩脱出表」のメリット

「苦悩脱出表」のメリットは以下の3つです。

①思考の整理がしやすい(自動思考と距離を置くことができる)
②無駄がない
③正しい思考を思い出しやすい

①思考の整理がしやすい(自動思考と距離を置くことができる)

人は悩んでしまうと

1頭に浮かんできた一方的な思考を真に受け、すぐに結論に飛びつく自動思考をして、
2自動思考に基づいた歪んだ見方決定をし
3歪んだ見方決定に基づく不適切な行動選択をする

という、不適切なフローをしてしまいがちです。

しかも、自動思考は、頭の中に繰り返し、繰り返し浮かんできます。そのため、自分の思考が整理できず、悩みからいつまでも抜け出せない人は少なくない。

ですが、苦悩脱出表を使うことで、自動思考を言語化して、自動思考と心理的な距離を置くことができます。すなわち、思考を整理することができるのです。

そして、表を埋める形で正しい思考を書き出して整理すれば、適切な見方決定、行動選択がわかります。そして、歪んだ見方決定によって、いつまでも不必要に落ち込んだり、不適切な行動選択をして、後々自己嫌悪に陥ったりすることを減らすことができるようになります。

思考の整理で最も大切なことは、自動思考と心理的な距離を置くことです。自動思考と距離を置かないと、なかなか正しい思考ができません。
そして、頭の中だけでは、なかなか自動思考から離れることはできません。自動思考と距離を置くためには、

①自動思考を文字にして書き起こし切るまたは
②自動思考を発言にして他者に話し切る(愚痴・弱音

ことが必要です。

②の愚痴・弱音も効果的です。ですが、愚痴を出し切って、ましてや解決策まで話してスッキリするのはなかなか(聞く側も)大変です。笑
自動思考を書き起こしたり、愚痴を出し切った後には、表にしてください。そうすると、自動思考が整理できるため、正しい思考を考え、適切な見方決定をし、適切な行動選択をする際にとても役に立ちます。

②無駄がない

悩んていて、人と話している時に、こういうことってありませんか?

「悩みを整理するために話を聞いて欲しくて話していたのに、途中で遮られて、的外れなアドバイスをもらってしまった・・・」

あるいは、自分の悩みをなんとか解決しようと、適当な本に手を出して読んでみても、

「なんかよくわからんことが書いてあったけど、参考にならなかったなぁ。」

なんて、時間を無駄に過ごしてしまうこと、ありますよね。

自動思考を整理し切らないと、正しい思考を考えることは難しいです。
自分で悩みを書き出して、表にして、表を見ながら正しい思考を考えるワークをしましょう。そうすれば、的外れなアドバイスを他人や本から受けたりせず、効率的に自動思考を整理でき、正しい思考ができるようになるでしょう。

③思い出しやすい

これが今回、最も重要な話になります。

人には、その人特有の、繰り返される思考パターンがあります

いつも心配性(根拠もなく、悪い結論が出ることを想像してそわそわしている。破局的思考をする)な人がいます。
いつも被害妄想(相手は自分を嫌っているんじゃないか、と心を読みすぎてしまう。心の読みすぎ)をする人がいます。
いつも他人にイライラ(相手の一挙手一投足が、自分を馬鹿にするためにしていると関連づけて考える。自分への関連づけを)している人がいます。

人はそれぞれ、いろんなことで悩んでいるようでも、実は同じような思考パターンで、同じような悩みをし続けているのです。出来事や見方決定が少し変わっただけで。

そこで、苦悩脱出表の出番です。悩むたび、苦しむたびに、自分の作った表を見返してください

同じような悩みであれば、表に書いた正しい思考、適切な見方決定、適切な行動選択を思い出すことができます。これが非常にいいアドバイスとなります

そして、微妙に出来事や自動思考、見方決定が違う場合には、その表に書き足してください次回以降、正しい思考等を思い出すのに、もっと役立ちます

さらに、同じ悩みであることが分かった場合には、表に書いてある同じ出来事、思考、見方決定、行動選択に「正の字」で印を足していってください

上の表の赤字部分のような感じです。

加えて、自分がどのような不適切な行動選択をしたのかも、書き足しておきましょう。(これも、表の赤字部分。「3月15日には、3時間も漫画を読みふけってしまった。」と記載しています。)

こうすることで、表を見返すたび、正しい思考等とともに、過去の未熟な自分も思い出すことができます。

そして、正しい思考等を思い出すたびに、同時に自分に向き合い、
「次は少しでも早く表を見て、正しい思考ができるようになろう!不適切な行動を、前回より少しでも(次は漫画も2時間59分に減らす)少なくしよう!」

と考えることができます。

いきなり、すぐに正しい思考ができるようになんてなりません。
僕も未だに、自動思考に振り回されることが多くあります。ですが、その度に、この表を見返して正しい思考を思い出し、また加筆することで表をより自分に適したものにしています。

また、仮に前回より不適切な行動選択をしてしまったとしても、それを書き込むことで、「自分はまだまだ未熟だけど、それが分かった。いいことだ!表に書き込んだから、自分の伸びしろは忘れないぞ。いいことだ!自分の目標達成のために、次は頑張ろう!」と思えるようになります。

この表を使い出してから、自分は本当に成長しました。この話については後にまたしますね!

苦悩脱出表の作り方

自分の悩みに即した苦悩脱出表を作るには、

①自分の頭に浮かぶ自動思考を吐き出し切ります。紙やスマホのメモ帳、PCのワード等にとにかく頭に浮かぶことを全て書きだしてしまうのが最も簡単です。
②次に、苦悩脱出表を作り(紙の上部に、出来事→思考→見方→行動と書けば出来上がり!)整理します。そして、自分がしそうな(あるいはしてしまった)不適切な見方決定や、不適切な行動選択を書き出し、これも表に整理します。
③その上で、自動思考の一つ一つに対し、反対の結論とその理由を考え、整理します(正しい思考)。
④最後に、正しい思考を踏まえた適切な見方決定、行動選択を書き出し、実践します!

簡単で、とてもメリットの大きいこの表を、まずは一つ書いて持ち歩きましょう!

次回予告 司法試験の不合格の乗り越え方

次回の苦悩脱出の参考書は、自分が司法試験に落ちた時の苦悩と、そこからどうやって脱出したのかについて、超〜〜〜赤裸々にお話します。正直、生々しすぎて引くレベルになっております。笑

ですが、苦悩脱出表がいかに役立つのかを示すこの上ない出来事であったので、これを使わない手はないのです。ということで、次回もお楽しみに!