こんにちは。
僕は司法試験合格をするにあたり、努力を継続するための方法論を学び・身につけるために、自己啓発書や生理学・心理学・精神医学の本を片っ端から読み漁りました。
その中で、実践して効果のあったものを体系化した内容を、今回お話しします。
結論から言います。努力する才能は後天的に身につけられます。
「努力ができない…」と思っている方ほど、ぜひご参考ください!
ステップ1 計画を立てる
努力をするためには、まず計画を立てましょう。
計画に沿って努力をしていくことで、「今日は何をしようか……」と考える無駄な手間がなくなります。すると、継続しやすくなるためです。
計画を立てることで結果が出しやすくなる、というエビデンス(科学的根拠)は多数あるそう。
計画の内容は、大きく3種類あります。以下の3つです。
②中期的目標(3か月後、1カ月後の目標)
③短期的目標(1週間、1日の目標)
それぞれ、どのように立てるかを説明していきます。
①ゴールまでの目標(長期的目標)
まず、ゴールまでの目標を立てます。そして、後に一日の計画を立てることになります。この順に計画を立てることで、ゴールから逆算した一日の計画が、ゴールに直結した効率的な学習になるためです。
司法試験予備試験の合格であれば、例えばゴールを4年後と決めます。
それまでに何を、いつ、どこで、誰と、どのように、どれくらいやるか(5W1H)を設定します。
以下で計画の一例を紹介します。
【何を】
・伊藤塾の基礎マスター講義1周。
・復習を講義と同じだけ。
・論文マスター講義1周。
・旧司法試験の過去問を3周。
・予備試験の過去問全年度を3周。
・論証集を理解・記憶。
・短答式過去問を3周。
・これらの内容を効果的に身につけるための復習。
【いつ・どこで・誰と・どのように・どれくらい】
・平日は朝起きてから出社までの7~8時。仕事後の20~22時。休日は休憩を挟みつつ9~20時。
・平日は家。休日は家の近くの図書館の自習室や、塾の自習室。
・土曜日の昼は勉強仲間と自主ゼミ。それ以外は一人。
・基礎マスターはネット受講。復習は該当箇所の短答問題集を解く。学びをメモする。記憶の時間を取る。
・論文マスターは予習で答案構成。講義を受け、復習で学びをメモする、理解の足りなかったところを基本書で復習し、まとめる。記憶の時間を取る。
・総勉強時間は、4年間で7680時間。
計画を立てるコツとしては、具体的に条件と行動を結びつけること。これは、「IF-THENプランニング」という、とても効果の強い方法です。
例えば、「朝一で椅子に座ったら(条件)、問題集を開き問題を読む(行動)」と、具体的に状況と行動を結び付けて計画します。
そうすることで、「今日は何をしようか……」と考える無駄な手間がなくなり、計画的に動けるようになります。
②3ヶ月後、1ヶ月後の目標(中期的目標)
1年後の目標を前提に、3ヶ月、1ヶ月の目標を立てていきます。
司法試験予備試験は、5月に短答式試験、7月に論文式試験、10月に口述試験があり、時期によって勉強内容が変わってきます。
具体的には、
- 11月〜12月は論文式9割、短答式1割。
- 1月〜2月は論文式7割、短答式3割。
- 3月〜5月論文式1割、短答式9割。
- 5月〜7月までは論文式10割。
- 7月〜10月は口述式試験で問われる分野を中心に論文式9割、短答式1割
といった塩梅です(上記は一例です)。
このように、ゴールに向けたメリハリを意識して、中期的目標を立てていくこととなります。
③1週間後、1日の目標(短期的目標)
1週間、1日の目標は、予定のない日を前提とした基本となる計画を立てます。
そして、その日の予定に合わせて、予定を適宜立て変えることになります。
ちなみに僕は1日の目標は、朝イチで立てることにしています。
「朝一で椅子に座ったら(状況)、手帳を開き計画を立てる(行動)」というIF-THENプランニングで、予定を立てます。
なぜかというと、僕は気分屋で自由人な性質があるため、前の日に予定を決めても、「あらかじめ決められた予定に縛られたくない!」という思いが、当日になってムラムラと沸き上がってくるためです。
一方、朝イチでその日の予定を立てれば、予定を「自分で決めた感」が出て、やる気が出ます。個人差があると思いますので、ご参考までに。
計画を立てるメリット
「計画を立てるのは面倒くさい!その間に作業した方がいいのでは?」と思う方。
確かに、一見して回り道に見えるかもしれません。しかし、計画を立てることは、努力を継続することを容易にするといわれています。また、僕自身、計画を立てるメリットを体感していました。
人は、単調な作業をするのに適している一方、毎日毎日、「今日は何をしようか……」と考えるのには向いていません。
そのため、繰り返しになりますが、あらかじめ定められた計画によって毎日やることが決まっていると、「今日は何をしようか……」と考える無駄な手間がなくなるのです。そのため、努力の対象である作業をしやすくなります。
また、ゴールまでの目標から一日の計画までを順に考えることは、ゴールを見据えた効率的な計画となるため、方向を間違えない効率的な学習が可能となります。
計画を120%生かすコツ
計画を120%活かすコツとしては、計画を立てたり、立てた計画を確認する時は、計画通り動いている自分や、計画の前後の自分をどこまでも具体的にイメージすると良いです。
「カフェに行ってこれを注文して、どの席に座る。そうしたら、今日はテキストの何ページを開いて……」とめちゃくちゃ具体的に情景をイメージしていきます。
人は行動を具体的にイメージすると、その行動に移りやすくなるといわれていますので、ぜひお試しあれ。
ステップ2 努力にやりがいを見出す
脳内で生成・放出される情報伝達物質の一つであるドーパミンは、興奮した際に出るものです。これは、継続に役立つといわれています。
そのため、努力の対象である作業の中に、楽しみや充実感、やりがいを見出して興奮状態を作り上げると、努力の継続に大きく近づきます。
僕は、分析・体系化が好きなので、その性質を勉強の中に活かしていました。
具体的には、学んだ内容や、司法試験合格のために自分に何が足りないのかを日々勉強しながら分析し、それをメモすることで、興奮状態を作り上げていました。
それこそ、自分にとって勉強は、合格に必要な能力を分析し、体系化するための手段としてやっていました(おそらく、このような意識で勉強することで、興奮し、継続に繋げていた人は少ないでしょう……笑)。
作業中、何が好きかは人それぞれ。ぜひ、自分に合った方法で、作業中に興奮状態をつくりあげてみましょう!
ステップ3 努力した自分を認める
自己効力感という、「自分は努力できる」という感覚が高い人は、努力を継続できると言われます。
「自分は努力できる」と感じるためには、コツコツと努力してきた自分を認める機会を作ることが重要です。
具体的には、今まで努力してきた内容を日々記録します。そして、定期的に見返すことで、「努力してきているなぁ」と自分を認めることができます。
また、努力を始めた頃の過去の自分と現在の自分を比較してみましょう。すると、決して1日ではやりきれないほどの努力が積み重なっていることに気づきます。。
「あぁ、今までたくさん努力してきたなぁ」と振り返ることで、今後も「自分は努力できる人間だ」と感じることができるようになり、努力を継続することに近づきます。
ステップ4 上手に休む
ストレス対策の「3R」とは
適切な休憩が、良いパフォーマンスを引き出し、ひいては継続に繋がることは、誰もが共感することでしょう。逆に、上手に休めないと、ストレスが溜まり、ストレスに振り回されて努力からは遠ざかってしまいます。
ここでは、司法修習におけるガイダンスにおいて、心理学のプロの実務家である公認心理師の方が紹介していた、「ストレス対策の3R」について紹介します。
一つ目の「R」 Rest休憩
まずは、良い睡眠をとることが大切です。
・寝る前に入浴をして体を温める
・毎日6時間は寝る
・起床後日光を浴びる
・寝る前に酒を飲まない
といった活動を一つでも増やしていきましょう。
読者の方の中には、大学生や専業受験生等で、外圧がなく生活リズムが大きく乱れてしまう方もいるでしょう。
もし、1週間以上生活リズムが大きく乱れ、不安を感じている場合には、公認心理士や臨床心理士に相談するために学校の相談窓口や、心療内科に一度通院したり、睡眠薬を利用するのが推奨されています。
僕も専業受験生時代は寝る時間が遅くなったり、寝すぎてしまうことに悩まされました。公認心理士の方のお話を聞いた今となっては、一度相談に行って睡眠薬を用いる等して、早めに効率的に睡眠時間を適正にすればよかったと後悔しています。
二つ目の「R」 Relaxリラックス
人間が一度に集中できる時間は限界があります。そのため、作業の間に一時休憩を入れましょう。具体的には、以下が推奨されます。
・仮眠
・瞑想
・音楽を聴く
・入浴
これらのように、適宜リラックスの時間をとることで、ストレスから一時的に離れ、心と体を休めるとよいです。
僕が勉強をしている図書館は、近くに公園があったため、勉強の合間によく散歩をしていました。また、図書館にある雑誌や漫画をぼちぼち読んだりもしていました。
三つ目の「R」 Recreation気晴らし
受験勉強は長期戦。余暇の日を計画して一日や半日ゆったりすることも、大切な作業です。
・散歩
・旅行
・読書
・カラオケ
・映画鑑賞
・友達と会話
このような気晴らしをすることも、推奨されます。
僕は、毎日プールに通い、適度に体を動かして気晴らしをしていました。また、そこで出会った方と水中ウォーキングをしながらお話をしたり、時に励ましてもらったりしていたのも、良い気晴らしでした。
ステップ5 計画を見直す
さて、上記4ステップを実践してしばらくしたら、「計画通りいってない…」と現実と計画が乖離していくのがありますよね。
自分に最適な計画を立てて、実践することは、トライアンドエラーを繰り返した先にできるもの。計画倒れは皆がはじめは通る道。当たり前の現象ですので、落ち込む必要はありません。むしろ、自分の計画の何が悪かったのかを分析し、成長するチャンスです。
大事なことは、倒れた後にどうやって、どれだけ早く立ち上がるかです。
計画倒れから立ち上がる最も大切な手段は、以前立てた計画を見直すこと。
いわゆる、PDCAサイクル(PLAN、DO、CHECK、ACTIONの頭文字をとった、「計画を立て、実行し、計画を見直し、再度行動に移す」という効率的学習法のサイクルのこと)のC(CHECK)になります。
努力を開始して1ヶ月ごとに、計画と現実を比較して、計画を見直す時間をとりましょう。
そして、計画が上手くいった理由や、はたまた計画通りうまくいかなかった原因は何かを分析します。必ず理由があるはずです。
例えば、
・計画が自分に合っていなかった(友人とのゼミに楽しみが見出せず、一人でやった方がやりやすかった)
・休憩が足りなかった
等々。
原因を見つけたら、今度はその失敗を繰り返さないために、分析を活かした計画を立て直します。そして、新しい計画に基づき、勉強をしていきましょう。
・楽しくない作業を減らしたり、やりがいを感じるよう工夫してみる
・以前より休憩を多く取ってみる。自分に合った休憩方法をいろいろ試してみる
PDCAサイクルを繰り返すうちに、少しずつ努力が継続できるようになります。
数度の挫折は当たり前。挫折は、初めのうちほど回復するまでに時間がかかります。挫折した後は、時間がかかってでも、勇気を振り絞って計画を立て直しましょう。
終わりに 努力を継続する「才能」がないと思っている人へ
自分は小さい頃から努力が苦手でした。授業の予習復習をしないのは当たり前で、宿題も滅多に出しません。モチベーションの波が激しい人間で、コツコツ努力する人がまるで宇宙人であるかのように信じられませんでした。
先天的な努力する「才能」があるとするならば、その才能は僕には全くありませんでした。
ですが、上記5ステップを繰り返すことで、後天的に努力する才能=「努力する能力」を少しずつ身につけることができました。
初めのうちは、無理な計画を立て、計画倒れをしていました。そして、計画を見直さずにどんどん努力が続かなくなり、挫折を味わい続けていました。今回お話した内容は、「言うは易し、行うは難し」です。
それでも、しばらくしてから計画を見直し、再度努力を始め、それでもまた挫折して……と繰り返していくうちに、少しずつ自分は「人並みに努力ができるぞ」と自信がつくようになってきました。
そして、時間はかかりましたが、司法試験に合格することができました。
過去の僕と同じように、今は「努力を継続できない」「自分は努力できない、ダメな人間だ…」と思っている方でも大丈夫です。
何度でも言います。努力する才能は後天的に身につけられます。
「先天的な努力する才能がない方」にとって、この記事が少しでも役に立てば幸いです!
参考書籍
・J・V・チャロッキ他「認知行動療法家のためのACTガイドブック」星和書店(ACTという心理療法の解説本。努力に自分だけのやりがいを見出すことが大切と学んだ本です。ですが、司法試験受験とは関係ない話が沢山あるため受験生におススメはしません。笑)
・メンタリストDaiGo「短期間で”よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術」ゴマブックス株式会社(科学的根拠に基づく習慣化のためのテクニックがてんこ盛り!)
・鈴木祐「100の科学的メソッドと40の体験的スキルから編み出した最高の体調」クロスメディア・パブリッシング(メンタリストDaiGoさんの師匠にあたる方の本。科学的根拠に基づく良いライフスタイルを紹介しています。この本でACTを知りました。鈴木祐さんの本はどれも画期的で勉強方法・ライフスタイルで参考になります。超おススメ!)